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田中川?
【たなかがわ】


鳥羽院(とばいん)川といった(神埼郡村誌)。嘉瀬川水系の1支流。神埼(かんざき)郡脊振(せふり)村の西端部にある苔谷(こけたに)山(518.3m)の南東部一帯の谷に源を発し,同村の鳥羽院を経て,佐賀郡大和(やまと)町に入り,同町大字名尾字田中付近で1級河川嘉瀬川水系の名尾(なお)川に注ぐ川。延長4.8km。「神埼郡村誌」の鹿路山(ろくろやま)村の項に「鳥羽院川 源ヲ村内諸山ニ発シ合流シ東南ニ下リ本村ト松瀬村ノ間ヲ経テ鋤先ニ至リ名尾川ト合シ,松瀬・梅野両村ノ間ニ入ル下流川上川ニ合ス……」とある。上流部の鳥羽院について「脊振路」に「昔は〈絹巻の里〉と呼んだ。伝説によれば後鳥羽上皇が隠岐からこの地に潜幸されてから後鳥羽院村と呼んだが,長い名をいとって,トバイと呼び慣わすに至ったという。〈大畑〉はもと〈王畑〉と書いた。上皇に献上した菜物を作ったので,王の畑と呼んだわけである。また上皇に奉った稗を作ったともいわれ,〈稗田〉と呼ぶところもある。〈みそぎ〉という所は,上皇がみそぎ遊ばされた川原で,後鳥羽神社の奥である谷一帯を〈手井田〉と呼び,昔は上皇のきこしめす米を作った〈帝田〉と書いた由……」と記している。また,下流部にある名尾は,和紙の生産地で,今は数軒あるのみ。ここの和紙生産の歴史は古く,慶長9年「坊所鍋島家文書」に「くにかみ(国紙)の少あしく候共弐百束」を江戸に送るように頼んでいる。後に藩札などの用紙を生産した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7217603