100辞書・辞典一括検索

JLogos

10

向島
【むくしま】


東松浦郡肥前町納所(のうさ)の西端綾崎から北西方2.3kmの玄界灘に浮かぶ島。面積0.3km(^2),人口135(昭和50年)。長崎県との境,日比(ひび)水道北方にある第三紀層の上に玄武岩が乗っている卓状の島である。「有浦家文書」の文暦2年9月20日の尼いわひろ譲状案に「むく島」とあり,「太宰管内志」には牟久(むく)島とある。「慶長国絵図」「正保国絵図」には島名は見えないが,明和2年の唐津藩水野氏への領知目録に「むく島」があげられている。藩政期には,貧困なために人口増加を防ぐ島の掟があったという。島民は信心深く祇園さん(八坂神社)と弘法大師に深い信仰を寄せている。祇園さんの大祭日には航海の安全を祈る人々が遠近から参拝する。その参拝者に焼酎を振る舞う習慣があり,「賑わい見るなら博多の祇園,酔人見るなら向島祇園」といわれたほどにぎわったという。島の産業は漁業と畑作中心の農業である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7218869