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竜門峡
【りゅうもんきょう】


西松浦郡西有田(にしありた)町大字大木(おおぎ)甲にある峡谷。有田川の支流広瀬川上流域にある。安山岩からなる青螺(せいら)山(599.2m),流紋岩の広がる黒髪(くろかみ)山(516m)の西斜面を水源としている。斜面は急崖をなし,至る所に奇岩が突出し,また洞穴があることから竜門と名づけられたのであろう。昭和50年3月に灌漑・飲用水・治水を兼ねた多目的重力式ダムの竜門ダムが完成した。このダムは堰堤の高さ42.2m,堤長150m,有効貯水量222万tで,昭和42年7月有田川の氾濫で死者39人を出したことをきっかけとして建設された。現在は飲料水として,1日に西有田町が1,000t,伊万里(いまり)市が2万2,000tを取水するほか,約40haに灌漑用水を送水し,田畑約1,000haを洪水から守っている。ダムの西北には陶石の原料となる流紋岩を採掘した露天掘跡がある。これは朝鮮に出兵した鍋島氏が帰国の際,連れてきた陶工たちに採掘させた跡で,その規模から少なくとも100年は続けられたと判断される。青螺山・黒髪山・竜門峡は黒髪山県立公園となっており,黒髪山の北から見返峠・竜門峡・ダムを経て唐船城跡に至るコースは九州自然歩道となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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