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愛野扇状地
【あいのせんじょうち】


島原半島北西部,雲仙火山のすそ野にある扇状地。南高来(みなみたかき)郡愛野町に属し,西端は愛野地峡を形成する。特異性は,南半が千々石(ちぢわ)断層によって橘湾底に陥没していることで,断層の結果,南部の境界は直線的であった。橘湾が陥没カルデラといわれているから,南部の千々石断層はカルデラ壁と称すべきであろう。この扇状地に河川の浸食が始まり,東部の千鳥川を最大とし,順次規則的に西部に縮小している。晩幼年期の状態にあるが,千々石断層線付近にいまだ広い原面が残っている。千鳥川とその隣の今木場川は,上流を千々石断層によって切断され截頭河川となっている。各河谷の谷底のうち水田,扇状地の原面はジャガイモ畑,谷壁は森林である。島原半島は長崎県最大のジャガイモの生産地で,なかでも愛野町の生産が最も多く,同町には農林試験場馬鈴薯支場が置かれている。集落は扇端と平野が接する旧島原街道筋に多く発達している。近時,扇端の丘陵上に住宅が発達しつつある。扇状地の原面は古くより集落の発達は少なく,原面にある集落としては原集落が代表的である。地名にその昔をしのばせている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7219205