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内目
【うちめ】


内海とも書く。西彼杵(にしそのぎ)半島稜線の東側斜面,大村湾・佐世保湾に面する地域の呼称。外目(外海)に対して使われる地域称。西彼杵郡の時津町の一部,琴海(きんかい)町,西海町の一部,西彼(せいひ)町に及ぶ。古くからの呼称で,「大村郷村記」には内目として日並・西海・長浦・大串・形上・八木原・川内浦・横瀬の8か村が記載されている。気候は年平均気温15℃で冬も5℃前後であり,年降水量は約2,000mmと温暖多雨である。地質は大部分が結晶片岩で,北部は玄武岩により形成され,ホマーテ型の虚空蔵山(307m)がある。地形は稜線に飯盛山(530.8m)・長浦岳(560.8m)・三方山(409m)などが準平原面上に残丘として小起伏をみせ,谷は深いが外目と比べると平地や台地がやや広い。海岸は屈曲に富むリアス式で,多くの入江は漁港・真珠養殖場となり,形上湾は漕艇競技場としても利用されている。亀浦・小口などはかつて大村湾海上交通の重要な拠点であった。大村氏はポルトガル貿易に熱意を示し,並行してキリスト教も普及した。横瀬浦は平戸から長崎へ港が移るまでの一時期(永禄5~6年)開港され,天主堂を中心に1,000戸に及ぶ町が形成されていたといわれている。豊臣秀吉・徳川家康らの禁教令後は法華宗が奨励された。産業は農業がほとんどで米・スイカ・ミカン・ジャガイモが多いが,平地が乏しいので生産力は低い。水産業は底引網などによるイワシ・アジ・ボラ・ナマコの漁獲が多く,真珠養殖も盛んである。交通では昭和30年に西彼杵半島と佐世保市針尾島を結ぶ西海橋の開通が後進性を余儀なくされていた半島全域の産業・経済・文化等の開発に大きく貢献した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7219638