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内山盆地
【うちやまぼんち】


下県(しもあがた)郡厳原(いずはら)町の南部に位置する盆地。東西約5km,南北約2kmの長楕円形をなすすり鉢状の浸食盆地。増木庭(ますこば)山・矢立山(648.5m)・大鳥毛山(555m)・小鳥毛山(511m)・舞石ノ壇(めいしのだん)山(536.4m)・萱場(かやば)山(512m)・竜良(たてら)山(558.5m)・木槲(もつこく)山(515.4m)と,これらを結ぶ尾根により囲まれており,山地に富む対馬において雄大で特異な地形を呈している。地質は周囲の山が硬質のホルンフェルスで盆地の大部分は花崗岩からなっている。対州層群に貫入した花崗岩(K・Ar法1,200万年前)とこれにより熱変成を受けてできたホルンフェルスによる浸食の差による地形であり,花崗岩地域は風化して真砂となり全体的に盆地となっている。盆地の中央部には瀬川が西流し河床には滑らかな花崗岩の岩盤が露出し,鮎戻しの名をもつ自然の関がある。盆地内には内山の集落があり,現在40戸余である。昔は豊かな自然に囲まれ狩猟を生業としていたといわれている。木武古婆神社内に,寛元4年阿比留氏を討ち対馬の実権を奪取した宗重尚の墓がある。宗重尚は明治維新まで600年以上対馬を支配した宗氏の初代である。盆地の南部,竜良山の北斜面は竜良山原始林として大正12年3月7日国天然記念物に指定され,原始林が保護されている。本地域には植物の種類が多く,特に対馬寒蘭・エビネの産地として知られている。竜良山原始林の下方に天道信仰の聖地である裏八丁郭があり,地元の人の参拝が盛んである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7219642