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鹿尾川
【かのおがわ】


長崎市南部を流れる2級河川。戸町岳の東方,烏帽子岩を水源として,北西に流れ,中流の上戸町付近で流路を南に変え,西方の長崎湾に注ぐ。流路延長7.5km・流域面積12.9km(^2)。中流部の大きく曲流した山間盆地には,上戸町や新戸町の市街地が広がっている。その上流部に大正15年に建設された小ケ倉水源池がある。昭和57年7月23日の長崎大水害のときは,同水源池下流の上戸町や新戸町は浸水による被害が大きかった。これは流路が大きく曲流しているためで,攻撃斜面側で川が氾濫し,流れが直進したことによる。下流部は戸町岳の東側を先行谷をなして流れ,磯道町で長崎湾に流入する。この流域には長崎市・西彼杵(にしそのぎ)郡伊王島町・三菱開発の3者による水道組合があり,1日最大3,000m(^3)の取水を行っている。しかし,水量は不安定で,渇水期になると深刻な水不足に見舞われ,また多雨期には,下流の民家に浸水の被害が出るなど,治水・利水の面で問題があった。このため,長崎市は市水道の第7回拡張事業の一環として,県と共同で鹿尾町地先・古道町地先に鹿尾ダムを建設する事業を進めている。昭和54年4月着工,同63年3月完成の計画である。このダムは重力式コンクリートダムで堤高34.6m・堤長88m,総貯水量114万m(^3)で1日最大7,600m(^3)を水道用水として取水する計画である。またこれと並行して,小ケ倉水源池の水位を一定の高さにおさえ,それ以上の水をトンネル導水路で,直接鹿尾ダム上流に流す計画も進められている。これは洪水吐隧道と呼ばれるもので,戸町岳山腹に直径6.9m・長さ354.5mの導水路を掘削しようとするものである。さらに小ケ倉浄水場の建設のほか,鹿尾川全流域にわたって河川改修事業が進められている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7220182