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黒島
【くろしま】


相浦港の南西12kmにある島。佐世保市に所属する。南北約2km・東西約4km,面積4.89km(^2)。九十九島中最大の島で,地質は第三紀の堆積岩を閃緑岩が覆っている。全島閃緑岩の風化した赤色の土がみられ,島は台地状をなし,中央部はなだらかな丘陵地で,最高地点は134.3m(吹ノ谷)である。西端の女瀬(めぜ)の鼻の小島は陸繋島で,串ノ浜の砂浜で本島に連なっている。島の北側は比較的なだらかであるが,南側は海食,風化が激しく,40~100mの断崖が数か所みられ,崖下や海中に大きな岩塊が散在している。半農半漁であるが,漁業による収入が主である。農産物は自家用の麦・甘藷・トウモロコシを主とし,一部出荷される野菜・馬鈴薯等で肉牛飼育もみられる。特産品である黒島みかげ石は藩政時代から有名で(平戸藩黒島石之書取)現在は蕨(わらべ)地区を中心に採掘され,6軒の業者が,主に墓石を中心に加工している。近年建材としての利用も増加している。飲料水は湧水と井戸によるもので,簡易水道も一部にある。島民の約80%はカトリック教徒で,横瀬浦へのポルトガル船来航後のキリシタンも,その後の弾圧で明治まで苦難の道をたどることになる。明治の初めに設立された女部屋(現在のお告げのマリア修道院)があり,現在でも十数名の修道女が農耕と祈りの共同生活を送っている。明治35年ロマネスク風赤レンガ造りの天主堂が島の中央部名切に信者の奉仕で建設された。地名の由来は,樹木が密生していて海上から見ると黒く見えたためと,カトリック教徒が多く住んだためクルス島が訛って黒島になったという2説があるが,前者の方が信憑性が高い。本村に白馬港があり,相浦港との間を毎日3回定期便フェリーくろしまが50分で結んでいる。串ノ浜には夏場売店ができ,キャンプ,海水浴客でにぎわっている。白馬港の拡張工事や漁業振興のための養殖水域の拡大が計画されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7220541