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佐護川
【さごがわ】


対馬の北西部,上県(かみあがた)郡上県町佐護にあり,島の主峰御岳(みたけ)の北麓に源を発し,西流また北流して朝鮮海峡に注ぐ2級河川。流路延長6,763m・流域面積53.94km(^2)(県河川課調)。仁田内川・中山川などの支流を集め,大きな流域を持っていることから,本島第一の川と称されてきた。殊に中・下流域の平野は島内に比肩する所がなく,深山・仁田内・恵古・井口・友谷・湊と6つの村落が発達し,藩政期にはそれぞれ村と称していた。このように流域に6か村を連ねた所は対馬ではほかになく,その景観は散村の典型ともいえる。この佐護6か村に佐須奈と玖須を加えた旧佐護郷は,村数は少ないのに貢租の負担率は抜けていた。佐護平野の豊穣を誇示している。流れの涸れる所が多い対馬の河川の中にあって,佐護川が仁田川に次ぐアユの多い川として知られるのも,その水源の深さを思わせる。恵古の川縁に天諸羽神社,友谷の川畔に神御魂神社,湊には天神多久頭魂神社など名神古社が多く,また白岳・クビルその他主要な遺跡が川畔にある。昔佐護の川はよく氾濫し,特に仁田内の蛇行点が決壊したようで,享保8年,藩は斎藤四郎次定輝を普請奉行として,川筋の改修を断行,辰ノ口の丘を掘り切って流れを変え,流勢の調節に成功した。その辰ノ口の川岸に,あまり人目につかない碑が立っている。定輝の功を称したもので「名は岸に清き流れや夏河原 文政癸未仲夏 柳枝」と一句が刻まれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7220912