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島原扇状地
【しまばらせんじょうち】


島原市の中心部を占める扇状地。雲仙山系山麓には多数の火山麓扇状地が発達し,その中にあって島原扇状地は比較的小規模であるが,豊富な湧水が特徴である。雲仙岳の伏流水を集める中尾川および北川が,折橋地区を扇頂部として雲仙火山の砕屑物を堆積して扇状地を形成したもので,扇端部は大手原・高島町両地区に至る付近となっている。扇状地面南側は寛政4年の眉山大崩壊に伴う堆積物に覆われている。また,この扇状地には,馬場鉄砲町線に傾斜変換線があり,新旧の扇状地の境界線と考えられ,同時に湧水線ともなっている。当扇状地の豊富な湧水群は,昭和60年1月,島原湧水群として環境庁選定の名水百選に入り,水の都島原を印象づけた。湧水量は季節的変動が大きく,降水量の増減と約1か月の差で湧水量が変動している。この湧水群は生活用水として住民生活と密着し,浜ノ川湧水では飲料水と洗い物等を区分する幾槽もの洗い場があり,水の管理が厳しく行われていることがうかがえる。その他にも水路に鯉を放流している所もみられ,観光資源の1つとなっている。また,扇端部には湧水を利用した酒造工場も立地している。扇状地南部には眉山大崩壊の際に陥没によって形成された湧水を水源とする白土(しらち)湖がある。土地利用をみると,傾斜変換線の湧水を基礎として城下町島原が形成され,扇状地南側に今日の島原市の市街地が形成されている。北側の40m等高線より下部では水田が卓越している。扇央から扇頂にかけては畑作中心地域で,かつては桑畑が広がっていた時期もあったが,今日では野菜・果実中心の園芸作物地帯となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7221079