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外目
【そとめ】


外海とも書く。西彼杵(にしそのぎ)半島稜線の西側斜面,五島灘に面した地域の呼称。内目(内海)に対して使われる地域称。長崎市の一部と西彼杵郡外海町・大瀬戸町・西海町・大島町・崎戸町に及ぶ。「大村郷村記」には外目として大村藩の面高・天久保・中浦・太田和・多以良・瀬戸・雪浦・神浦・三重・陌苅(あぜかり)・黒崎・式見・福田・松島・大島・嘉喜浦崎戸・江島・平島の18か村が記載されている。気候は内目とほぼ同じだが,冬は沖合いの暖流の影響でやや暖かい。地質は大部分が結晶片岩で,北部は石炭が含まれる第三紀堆積層と玄武岩で形成される。山地は奥深く,これを刻む谷はV字形をなし,山腹は急傾斜で海岸も急崖が多い。北部は台地が広がる。大島・蠣ノ浦島は砂岩・頁岩・泥岩の互層からなり浸食に基づくケスタ地形がみられる。一般に平地は小さく生産力も低い。出津(しつ)遺跡などの生活跡がみられ,居住の歴史は古い。中世に入って伝統文化の発展に加えて,永禄5年にキリスト教が伝わり布教がなされた。その後,禁教令の厳しい弾圧があったが信者たちは仏教徒を装いながら信仰を守り通した。一方,神浦・三重などでは寛永7年に真宗の布教があり普及した。明治期に入ると,出津に赴任し村人の暮らしと精神文化の向上に尽くしたフランス人宣教師ド・ロ神父の偉業も特記される。外海町は神父の出身地フランスのボスロール村と姉妹都市となり文化交流を続けている。産業では農牧業が大部分で,中でもミカン栽培が多く,最近は養豚が増えている。水産業はイワシを主とする海面漁業が多い。鉱工業では池島の海底炭田,大島造船所が群を抜く。南部は長崎市内への通勤者が増えてベッドタウン化しつつある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7221401