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富川渓谷
【とみかわけいこく】


諫早(いさはや)市富川町にある渓谷。諫早市内を流れる本明川水系の1つ富川の上流に位置する。地質的に上流域が多良岳溶岩である輝石安山岩,下流域が凝灰角礫岩からなりその境に大雄寺の滝がある。元禄12年の本明川大洪水の際に諫早の領主諫早茂晴が死者の供養と災害防止祈願のため富川上流に大雄寺を建立,渓谷の岩肌に503体の羅漢像を刻し,宝永6年完成。「大雄寺の五百羅漢」として昭和52年県史跡に指定された。磨崖仏としては県内随一のものである。この下絵は南高来(みなみたかき)郡神代の名僧常春和尚の筆による。碑銘には石工矢上村鎌山甚兵衛,田結の森与四郎などの名が刻まれている。高さ30mに及ぶ断崖に彫刻することは大変な技術と労費を要したと思われる。なお,大雄寺には背面に永正10年11月18日の銘文が刻まれた十一面観世音菩薩座像があり,昭和52年に県文化財に指定された。また渓谷上流にはカツラの大樹があり,富川のカツラとして昭和40年県天然記念物に指定された。このカツラは根回り8~9m・高さ約10m,根元から数本の支幹が出ている。ここ富川渓谷は渓谷美に恵まれ,夏はキャンプ場が開かれ,名物のそうめん流しの店も出る。夏の緑陰と清流,秋の紅葉を求めて訪れる人も多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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