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納島
【ないじま】


対馬の東南端,内院浦の沖にある無人の島。下県(しもあがた)郡厳原(いずはら)町に属する。奈伊島とも,内院島ともいう。この浦の古名が「ナイ」であったことは中世史料に明らかで,近世になって内院というが,島の名は旧慣により「ないじま」あるいは「のうじま」ともいう。奈伊良神社が内院にあり,奈伊島神社がこの納島にある。内院浦から約2km程,対馬の最南端神崎までおよそ3km程。島は周囲500m程の円形で,高さ154m。照葉樹林に覆われた岩山で,外海に面した三方はすべて断崖,内に向いた北西の海岸は船が着き,神さびた神社が鎮まっている。「対州神社誌」には,納島弁才天と録していることから,「神社大帳」は本来の祭神を市杵島姫と考定した。伝説でも,納島の神は女神だという。また納島の沖には竜宮の門があるという。潜(かつ)ぎをする海人(あま)たちも,海底の岩礁が割れているという。おそらく海底にある磐座(いわくら)ともいうべき神聖な岩窟があって,信仰のシンボルとされていたのではあるまいか。海神が蛇体であることは,豊玉姫も同じである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7221891