100辞書・辞典一括検索

JLogos

8

中通島
【なかどおりじま】


五島列島の北部に位置する島。南松浦郡の,若松町の一部および上五島町・新魚目町・有川町・奈良尾町からなる。東西約18km・南北約39km,面積168km(^2)。十字形に似た形状である。古称は東島(五島通史)。地質は,新生代第三紀の五島層群を基盤とし,火成岩や熱変成岩から構成される。北部に位置する最高峰の番岳(443m)をはじめ,山王山(439m),雌岳(403m)など急峻な山々が続き,海まで迫っている。海岸線は複雑なリアス式海岸で天然の良港がみられる。そのため昔から基幹産業は漁業であり,有川港・青方港・奈良尾漁港など全国的に有名な漁港へと発展した。以来底引網・巻網・一本釣り・延縄・定置網漁業など多種多様な方法で,イワシ・アジ・サバ・イカ・ブリなどの水揚げがある。ハマチ・真珠母貝・ワカメ・カキの養殖も盛んである。農業は自給自足的な程度で,甘藷・米・柑橘類・野菜類の生産を主とする。歴史的には遣唐使の寄港地としても有名で,最澄・空海も上陸したと伝わる。また,キリシタンの島としても知られ各地にレンガづくりの教会が建ち,上五島地区独特の風情を醸し出している。南西部には西海国立公園の若松瀬戸がみられ,観光資源となっている。その他には,遠浅で白砂の美しい蛤(有川町),高井旅(奈良尾町)などの海水浴場,県天然記念物に指定されている赤岳断崖,良い釣場となる瀬などがある。特産品としては船崎地区の五島うどん,北部の椿油,ウニ・スルメ・アゴなどの海産物がある。青方湾の湾口には洋上石油備蓄基地の建設が進められており,経済効果が期待されている。長崎市より西方約100kmの東シナ海上にあり,大村・福岡より空路で,長崎・佐世保・福岡より海路で結ばれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7221983