100辞書・辞典一括検索

JLogos

20

奈留島
【なるしま】


五島列島のほぼ中央部,滝河原瀬戸と奈留瀬戸の間にある島。南松浦郡奈留町に所属する。面積25.43km(^2)。V字形を骨格にして北西から南東方向の湾入でヒトデ形をしている。新第三紀の五島層群よりなり,150~270mの壮年期山地が走って半島部を,北西から南東方向の溺れ谷が船廻湾・相ノ浦湾・大串湾・東風泊湾・浦(奈留島港)を形成する。地名の「奈」は五島に多くある浦を「ナ」と呼び,「留」は泊からくる港地名に由来するといわれる。それぞれの湾頭,入江にはほとんど漁業集落が立地し,島内人口5,372人(昭和58年)のうち約45%が漁業従事者で占められている。代表的な漁業はイカ釣り,一本釣りの沿岸漁業と東シナ海での揚り網である。湾内ではハマチ・真珠養殖が盛んで,ワカメの養殖も行われている。南部の権現山(60m)周辺の樹叢は,古来魚付林で伐採が禁止されていたため原生林を形成し国天然記念物に,船廻の八幡森は県天然記念物に指定されている。大串湾の皺ノ浦はハマジンチョウ群落,縄文時代の土器を含んだビーチロックで知られている。湾・入江に富んだ奈留島は,遣唐使船が奈留浦に承和9年に寄港している。また江戸期には大村藩領からのキリスト教徒が,迫害を逃れて移住しているのが記録にみられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7222087