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八郎川
【はちろうがわ】


長崎市の北東部を流れる2級河川。八郎川水系の本流。八郎の名称は,鎮西八郎為朝に由来するといわれる。流路延長9.2km・流域面積32.6km(^2)。井樋ノ尾岳に源を発し,途中,8支流が合流して断層谷(東長崎断層)を流下する。中里町・松原町を南流し,国道34号に並行して矢上町を貫流して橘湾(千々石(ちぢわ)湾)に注ぐ。流域を分ける周囲の山々は,当川をほぼ扇状に囲み,右岸側には八筈岳・帆場岳・前岳などに源を発する中尾川・現川(うつつがわ)川・間の瀬川・正念川などの支流がある。左岸側には普賢岳・行仙(ぎようせん)岳・船石岳・井樋ノ尾岳などから流れ落ちる清水川・都通川・地蔵川の各支流が本流に注いでいる。支流はいずれも深い浸食谷を形成しており,河床勾配が大きく山地河川の形態を呈している。流域の平坦な土地では水稲・野菜,傾斜地では果樹や植木,山地では主として杉を生産する農林業中心の流域である。古賀町を中心とする植木業は古い歴史を持ち,この地域の農業景観に特異な情緒を添えている。右岸には長崎市の数少ない主要幹線である国道34号が走り,沿線に市街地を形成している。特に下流右岸に沿う矢上町を中心とする地域は,旧長崎街道の宿場町として栄え,現在は官公署・金融機関・商店などが集中し,東長崎地区の中核をなしている。最近は長崎市・諫早(いさはや)市のベッドタウンとして宅地開発が進んでいる地域でもある。河口から約2kmの矢上橋を通る国道251号より南側の八郎川左岸の丘陵地帯には,県住宅供給公社による土地区画整理事業が進んでいる。総面積104ha・計画戸数2,000戸・人口8,000人をめざす矢上団地の造成で,昭和58年度から供与が開始され,ニュータウンづくりが行われている。河口右岸には,東望の浜と呼ばれる砂浜が発達していたが,昭和41年海水汚染などによって海水浴場が埋め立てられ,現在市中央卸売市場として利用されている。昭和57年7月23日の長崎大水害では土石流や河川の氾濫によって,八郎川水系も流域に甚大な被害をもたらした。災害後,河川改修事業が進められている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7222314