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福江島
【ふくえじま】


五島列島の南端にある島。福江市および南松浦郡岐宿(きしく)町・三井楽(みいらく)町・富江町・玉之浦町からなる。面積328km(^2)。県内では対馬に次いで2位の広さがある。古来福江島は大値賀島と呼ばれていた。その後中心地深江の名を呼称していた。元和3年深江の石田陣屋の完成を祝い,深江を福江,殿浦を富江と改名し,福江島の名称が成り立っている。五島列島の北東~南西の島軸に沿い,中央部が新第三紀の花崗岩類,五島溶結凝灰岩で,周囲には五島層群が分布する。五島層群は花崗岩類の貫入でホルンフェルス化し,父ケ岳(460m),七ツ岳の壮年期山地を形成している。半島部の福江・富江・岐宿・三井楽は第四紀の玄武岩が流出し,三井楽以外は溶岩台地である。福江半島には溶岩台地に鬼岳(317m),火ノ岳のホマーテ群や三井楽半島の京ノ岳(182.8m)のアスピーテ火山がある。中央部の花崗岩類の分布する山内盆地は浸食盆地で,島最大の稲作地帯である。北部と南西部の海岸は海食崖と静かな入江に富むリアス式海岸である。深い入江は遣使船の停泊地にも利用され,現在ではハマチ・タイや真珠の養殖が盛んである。ホマーテ火山群と海食崖・リアス式海岸は西海国立公園の主要部となっている。溶岩台地や山地周辺では甘藷・桑・葉煙草栽培地が多く,桑畑は長崎県の75%を占めているが,肉牛飼育が次第に増加している。花崗岩が五島層群に貫入した部分では蝋石鉱床を生じ,耐火炉材・ダイアス等の窯業原料として利用されている。人口は昭和55年現在5万3,273人であるが,従来から農主漁従で,第1次産業が35%を占めている。過去30年間に30%の人口減少があり,その中でも沿岸漁業部門に大きな減少がみられる。西端の玉之浦町では60%の減少を示し,過疎化現象が著しい。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7222627