100辞書・辞典一括検索

JLogos

29

天草上島
【あまくさかみしま】


天草諸島中,天草下島に次ぐ主島。北は有明海(島原湾),東は八代(やつしろ)海(不知火海)に面し,西は本渡瀬戸を介して天草下島に対する。面積219.62km(^2)。天草郡松島町・姫戸町・竜ケ岳町・倉岳町・有明町・栖本(すもと)町,本渡市の一部が所在。戦国期には有明町上津浦に上津浦城,栖本町湯船原に栖本城があった。上津浦には司教コエリヨが南蛮寺と学校を建て,キリスト教徒の精神的な支えとなり,天草・島原の乱では大矢野島とともに一揆勢の中心地となった。天草最高峰の倉岳をはじめ,老岳・念珠岳・動鳴山・竜ケ岳など,標高400~600mの山があるほか,東岸沿いに連続する山地を観海アルプスといい,高舞登山・金比羅山・白岳・鹿見岳・二弁当峠(のべつとう)が連続し,この尾根道は昭和53年に九州自然歩道の一部になった。地質学的には新生代古第三系の砂岩と頁岩からなる。現在島の南岸を国道266号,北岸を国道324号が通る。主な河川は河内川・教良木川で,教良木川水系祝口川にある県営教良木ダムは昭和62年完成予定の灌漑用ダム。倉岳町の念珠岳には県天然記念物ヒモズル(ヒモカズラ)が自生。栖本町には栖本氏の菩提寺天台宗利明寺,天草四か本寺の1つ浄土宗円性寺がある。上島東海岸は昭和47年7月6日に集中豪雨に見舞われ,竜ケ岳や倉岳山麓一帯に地滑り・山崩れが発生,死者・行方不明116名,被害総額262億円の大災害となった。有明町は葦北地方,三角町に次ぐ甘夏ミカンの産地で,紅甘夏(王新柑)はこの町で生まれた。姫戸町では昭和45年にヤマハ発動機が町の誘致企業として操業を開始,また養殖のワタリガニは主に関西方面に出荷される。松島町には装飾古墳の大戸鼻古墳群(県史跡)があり,天草五橋開通後,観光客が急増した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7223520