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天草下島
【あまくさしもしま】


天草諸島中,第1の主島。北は早崎瀬戸,西は天草灘に面し,東は本渡瀬戸を介して天草上島に対する。面積570.29km(^2)。本渡市・牛深市,天草郡五和(いつわ)町・苓北町・天草町・河浦町・新和町が所在。国名勝および天然記念物の妙見浦は天草の西海岸の代表的な景勝地で,石墨片岩からなる南部の十三仏以外は,第三紀始新統の砂岩・礫岩の累層からなる。海岸は20~30mの断崖が連続し,妙見崎には妙見洞門と妙見岩とがある。また国の天然記念物および名勝の片島(竜仙島)は中生代白亜紀の砂岩・礫岩からなり,竜女宮と呼ばれる洞窟やマタグラ岩という石柱があり,波食による奇勝をなす。雲仙天草国立公園の指定区域も広く,海中公園が3か所ある。天草町には五足の靴文学遊歩道や十三仏公園,荒尾岳の遠見番所跡,下田温泉(白鷺温泉),国民宿舎,苓北町富岡に富岡城跡,国史跡の富岡吉利支丹供養碑(首塚),九州大学臨海実験所,「泊天草洋」を詠じた頼山陽の詩碑がある。戦国期には,本渡市本渡町大字本戸馬場に本渡城,河浦町に下田城・宮野河内城,苓北町に志岐城,牛深市久玉町に久玉城があった。天正19年から慶長2年まで,宣教師を養成するイエズス会の神学校(天草学校)が河浦町にあり,天草四郎陣中旗などを保管する天草切支丹館が本渡市船之尾町に所在。なお苓北町に昭和52年九州電力の火力発電所建設の構想が発表され,同59年2月に県は用地となる公有水面埋立て免許を公布,建設が実施の段階に入っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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