100辞書・辞典一括検索

JLogos

13

小国盆地
【おぐにぼんち】


阿蘇北外輪山の端辺(はたべ)原野のすそ野にある山間の小盆地。東を九重連峰の涌蓋(わいた)山・一目山,北を万年(はね)山,西を津江山系が囲み,阿蘇郡小国町と南小国町にまたがる。面積約13km(^2)。九重・阿蘇の火砕流堆積物が数条の河川によって放射状谷をつくり,盆地の中心部である小国町の宮原と市原に集まり,杖立川となり筑後川に流れ込む。年平均気温約13℃,年降水量2,300mmで,標高約500mの内陸盆地であるため年較差も大きい。狭い放射状河谷の低地には水田が開け,丘陵には江戸期以来の杉林が広がり,日田(大分県)に続く全国有数の林業地帯であるが,私有林が主で所有面積の格差が大きい。周辺の火山のすそ野では肉用の赤牛,村里ではジャージー種の乳牛を飼育。高冷地大根やシイタケの栽培なども知られる。また,この地方は白山・霧島火山帯の邂逅部で,杖立・黒川・峐の湯(はげのゆ)・岳湯・満願寺などの温泉群があり,山峡の静かないで湯が多く,年間20万人以上の観光湯治客が訪れる。県の北東部にあたり,福岡・大分県境と接する辺境の地であったため,筑後や豊後との交流が強く,歴史的には大友氏の侵入や満願寺(南小国町)における北条氏3代の支配,経済的には日田市への杖立川舟運,宮原線との結びつきなどがあり,今日でも有力商圏は日田市に属する。熊本藩時代から熊本との結びつきも強まったが,阿蘇・津江の山系に隔てられてその往来は難渋を極めた。現在九州横断道路が東部を貫き,国道387号・212号が盆地の中心部で交差するなど熊本市・福岡市などとの時間距離は著しく短縮されたが,過疎化が進み宮原線も同59年12月1日に廃止となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7224209