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菊池川
【きくちがわ】


県北部の菊池・鹿本・玉名地方を貫流して有明海に注ぐ1級河川。流路延長61.2km,支川66を含めた総延長389.7km。流域面積は996km(^2)で,3地方の郡市総面積のほぼ80%を占める。菊池川の河川名は,本来,菊池地方における呼称で,鹿本地方では山鹿川,玉名地方では高瀬川と称していた。源流は,阿蘇外輪山の北西部,阿蘇郡阿蘇町と菊池市にまたがる深葉山地の標高700~900m付近にあり,景勝地の菊池渓谷を流下したのち,菊鹿盆地に出る。谷口の菊池市亘から盆地西端の山鹿市鍋田まで,流路約20km,平均勾配1,000分の1から1,300分の1の緩やかな流れで,この間,筑肥山地から流下する迫間川・内田川・吉田川・岩野川,および盆地南部の洪積台地を刻む合志(こうし)川・千田川・岩原川の諸支川を合わせる。山鹿市街地を過ぎてから,台地と花崗岩からなる丘陵に囲まれた狭隘部に入り,和仁川との合流点近くで流路を南へ転じ,玉名郡菊水町の白石堰付近から玉名平野に出る。流域面積の約14%,13万7,000haが水田で,県内の1級河川では割合が最も高く,菊池川水系は流域面積に比べて多くの水田を涵養している。中流域の菊鹿盆地では,江戸期に起源をもつ井堰がかりが菊池川本流のみで13も今日まで受け継がれている。一方,下流の玉名平野では,昭和36年に始まる県営玉名平野土地改良事業に伴い白石堰に水利の統合が行われ,昭和58年における受益面積は4,512haとなっている。白石堰からは両岸への農業用水(毎秒13.4m(^3))とともに有明大牟田地区への工業用水ならびに上水(既得毎秒0.6m(^3),新規毎秒1.2m(^3))が送られ,これらの利水と関連して,菊池川支流の迫間川(菊池市)では竜門ダムの建設が進む。上流部には,大正期に設けられた水路式発電所が7か所(本流5か所,支流内田川・迫間川各1か所)あり,最大出力は合計1万4,730kwに上る。かつて菊池川は県北部における舟運の動脈となり,広瀬(菊池市),高島(七城町),山鹿,高瀬・大浜(玉名市)などは河港の機能を有した。下流の高瀬は熊本藩の御蔵が置かれ,米のほか菊池川流域の物資の集散地として栄えた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7224740