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田野高原
【たのこうげん】


人吉市南部,鹿児島県大口市との境界付近にある高原。標高約660m,東西約600m,南北約800mの小盆地で,古い田野火山の火口湖跡。人吉市の田野では石鏃・石匙・石斧などの遺物が出土。寛元2年5月15日の人吉荘起請田以下中分注進状(相良家文書/大日古5‐1)では人吉荘のうちとされ,寛永10年頃薩摩との国境紛争の際には幕府の検分使立会いのもとで人吉藩相良氏領として確定された(竹田氏蔵文書)。明和7年大瀬・神瀬(球磨(くま)村)の住民の移住があり,観音堂を中心とした集落が成立している(田野村観音堂棟木銘)。夏は冷涼で8月の最高気温は28℃前後,冬は1月の最低気温-10℃となり積雪も多い。水田は一毛作田で,蔬菜のハウス栽培を試みたものの失敗している。ほかに林業・牧畜も行われているが,人口の減少が進む。村成立以来伝承されてきた田野の棒踊り・俵踊り・錫杖踊り(県無形民俗文化財)も最近では行われていない。集落は盆地北側の日当たりのよい場所に立地するが,夏の強い南東風や台風から守るため鉤屋造り(曲り家)の民家が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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