坪井川
【つぼいがわ】

熊本市の北部を流れる２級河川。熊本市の植木台地の谷頭に源を発し，井上川・糸山川などの小河川および白川の分水堀川を合わせて南流，熊本市街地を貫流する。流路延長22.6km，流域面積150.6km(^2)。熊本市街地の坪井を流れるのでこの名がある。市街地を抜ける頃流路を西に向け，熊本市高橋町で井芹川を合わせて有明海に注ぐ。流域は著しく低平なためたびたび洪水の被害を被ってきた。特に市街地の寺原地域は遊水地帯の形態をなし，水害常襲地帯。治水工事が行われたが，慶長年間加藤清正による石塘堰の築造は有名。これは従来白川と合流していた坪井川を分流させ，さらに流路を変更することにより，上流の洪水防止を図るのみならず，熊本城の内堀としての機能をもたせること，舟運河川として活用することなどを意図したものであった。以後河口の百貫港から高瀬舟が上り，城下への物資運搬路として活用され，新町や古町の繁栄をもたらした。明治期以降鉄道が開通すると衰えていったが，船場町の地名や川畔の石垣に昔日の面影を残す。昭和28・32年の大水害の教訓から現在大規模な改修工事が進められている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7226481