朝見川
【あさみがわ】

速見(はやみ)川ともいう（豊後国志）。別府市中央部の石垣原(いしがきばる)扇状地の南縁部，朝見川断層崖下を南東流する川。水源は鶴見岳南東麓の大字南立石(みなみたていし)字温水(ぬくみ)で，上流には数条の砂防ダムが渓谷を横切り，蔵人ダムは常時水をたたえている。堀田(ほりた)温泉・観海寺温泉を経て市街地に入るが，「和名抄」朝見郷の中心とみられる朝見の北をめぐり，浜脇・別府両温泉を分かって，別府湾に入る。延長5,030m・流域面積10.9km(^2)。支川の乙原(おとばる)川・鮎返(あゆがえり)川・河内(こうち)川とともに２級河川。別府市上水道用のほか，灌漑用に利用されている。１頭首工で8.6haを灌漑。本河川から取水，噴気で加熱して，温泉としても利用。上・中流は急流河川であるが，下流は緩流河川で，昭和43年９月の16号台風に伴う豪雨により下流沿岸は氾濫し，大被害を受けたため，翌44年から河川改修を行い，面目を一新した。乙原川は小鹿山(おじかやま)北部からほぼ東流する急流で，延長1.5km・流域面積3.2km(^2)。本流合流点より約1.5km上流に乙原滝があり，雄瀑・雌瀑の２条に分かれ，飛沫四散の光景は雄壮。落差55m。鮎返川は小鹿山北東部に水源をもち，北東流する急流。流長１km・流域面積２km(^2)。上流の鮎返滝は落差20m・幅６ｍ。河内川は小鹿山東部を北東流し，河口に近い浜脇温泉街で本流に合する。頭首工２，3.7haを灌漑。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7228508