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大入島
【おおにゅうじま】


佐伯(さいき)湾内最大の島。標高194m・面積5.7km(^2)。南・北部が広く中央が狭い。佐伯港の北東2km。「豊後国志」に,「佐伯荘代古浦東にあり,周廻三里,濃翠峋嶙,中に八浦あり,皆漁戸なり。大友宗麟常に此に田猟す。良馬あり,般若栗毛と名づく」とある。島名について,明治の郷土史家佐藤鶴谷の報告では,東南5kmに八島があり,大きな島のため大八島と名づけたが,国名と同じため大入島といつの頃からか呼ぶようになったという。現在戸数615・人口2,497。ミカンと漁業の島で,湾内ではサバ・イワシ・アジ・カタクチイワシ・チリメンジャコがとれる。島の内側北に当たる高松には,ハマチと真珠の養殖場がある。外側東の竹ケ谷にも,ハマチの養殖場がある。大きな島が眼前にあるため,湾内は波静かで外材貯木場としては門司(もじ)管内で最適の好条件という。北の一部を除いて道路がよく,佐伯港より1日フェリー8便がある。神武天皇東征の折,供の人々が汲むべき水がないので,天皇は折れた弓の先で岸辺の砂を掘ったところ,たちまち清水が湧き出たという神話がある。ここを「神の井」と称して,湾に入艦した日本海軍の将官はよく参詣した。当時の記念碑が今なお建っている。正月15日未明,村人が浜にて篝火をたくトンドの行事は皇船奉送の目標としたものと伝える。明治44年10月23日,大正天皇がまだ皇太子であった時,佐伯湾を眺めるため石間浦白浜の山上に登った。「駐ひつ記念碑」のあるところは桜の名所でもあり,眺望がよく,訪れる人が多い。7~8月には白浜の海水浴場がにぎわい,夜は,島一周の観光船が就航する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7229316