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緒方川
【おがたがわ】


竹田市および大野郡緒方(おがた)町の中部を南西から北東へ流れる川。大野川水系。1級河川。祖母山から北西に延びる尾根上にある越敷(こしき)岳(1,043.2m,大分・熊本県境)の西麓,熊本県阿蘇郡高森町津留(つる)に発して北流,溶結凝灰岩の丘陵地を浸食して竹田市に入り,大字九重野(くじゆうの)の百木(ももぎ)付近から北東へ転じ,小川や大字次倉(つぎくら)の下戸(しもと)にかけて狭長な沖積低地を開く。妙見で緩木(ゆるぎ)川を合し,瀬ノ口付近では瀬ノ口川と呼ばれ,出合下流で神原(こうばる)川を合する。大字門田(もんでん)・入田(にゆうた)では門田川と呼ばれ,その河谷平野の幅は300~400mになる。十角(とすみ)で十角川を合して,緒方町に入る。大字上年野(かみとしの)で徳田川を合わせ,緒方町の中心部,緒方盆地に入って,逆S字状の沖積低地を形成し,その幅は最広1kmに達する。盆地の東部の大字野尻で馬背戸(ませど)川を入れ,緒方町と清川村との境界をなしながら,沈堕(ちんだ)滝の上で大野川に入る。「豊後国志」に,「源は直入郡入田郷門田水。矢原を経て,郡の中尾・枝石間を過ぎ,牧原に至り,徳田川を合して一となる。原尻・上自在・馬場を過ぎ,徳部に至りて,河宇田水を合す。野尻を経,長迫に至り,曲折北行,小牧古城の東南を繞りて,大野水と合流,沈堕瀑となる」とある。延長33.574km・流域面積45.1km(^2)。頭首工・灌漑面積は,緒方川14・491.8ha,瀬ノ口川8・14.0ha,門田川4・4.8ha。うち,緒方盆地263.0haを灌漑する緒方上下両井路が最大。同下井路取入口の下に原尻滝がある。支流の緩木川は緩木山(1,046m)の西麓に発して北流,延長4.3km・流域面積10.4km(^2)・頭首工9・灌漑面積6.9ha。神原川は祖母山の北麓に発して北流,延長7,100m・流域面積8.6km(^2),頭首工18・灌漑面積51.5ha。十角川は倉木山の北西麓に発して北流,竹田市と緒方町の境界をなす。延長7.7km・流域面積15.5km(^2)。「豊後国志」には倉木(くらき)川といい,「入田郷倉木山の東北に発し,平の東を過ぎ,長田に至りて田井川を控く。直北行,矢原に到りて,門田川と会し,大野郡に入る。此の水,東は木野より,西は矢原に至り,両郡界をなす」とある。竹田市東部の大字倉木・太田,大野郡緒方町西部の大字大石・木野などの地域を灌漑している。頭首工31・灌漑面積61.8ha。徳田川は緒方町の西部,大字木野(きの)に発して東流,大字徳田を経て米山にいたり,ここで流路を北に転じ,大字下徳田を経て大字上年野で緒方川に合流。延長3.5km・流域面積10.6km(^2)。幅100~200mの谷底平野で灌漑面積27.6ha・頭首工10。緒方盆地で,緒方川に入る軸丸(じくまる)川・清田(せいだ)川・知田(ちた)川の頭首工・灌漑面積はそれぞれ6・7.8ha,3・4.6ha,6・9.6ha。馬背戸川は緒方町南部の大字冬原(ふゆばる)に発し,阿蘇溶結凝灰岩地上を北東へ向い,大野郡清川村と緒方町との境をなし,清川村天神(てんじん)で緒方川に合流。川底には,この凝灰岩の岩盤が露出し,岩盤上には通称ひい(樋)と呼ばれる細長い溝が見られ,甌穴の一種と考えられている。丸小野(まるおの)・石原(いしばる)などには河岸段丘が発達しているが,比高は低い(清川村誌)。流長7km・流域面積12.1km(^2),頭首工13・灌漑面積82.0ha。「豊後国志」に,「河宇田川 源は緒方郷徳尾村の西に出ず。北向東折,河宇田の東北を遶り,徳部(とくべ)に至りて,緒方川に入る」とあり,かつては河宇田(かわうだ)川ともいった。




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「角川日本地名大辞典」
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