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落ノ浦
【おちのうら】


津久見市四浦地区の中心となる浦。鳩浦・久保浦・深良津(ふからづ)とともに四浦の1つ。藩政期から四浦(ようら)半島の中心地。当浦から北が日豊海岸国定公園,福良(ふくら)から落ノ浦までが豊後水道県立自然公園のうち。地名は平家の残党が落ちて来たところというがさだかではない。古い記録に越智ノ浦の字も見られる。摺鉢のように周囲が急勾配で海に入り,海岸道路下の水深は13m。地勢上からその名がついたといってもよい。当地は佐伯(さいき)藩内の大庄屋があったほか,天神様の祭事を行う時七軒株という組織があった。海部(あまべ)郡浅海井(あざむい)・臼杵(うすき)・津久見から移住してきた子孫が繁栄して7軒株となった。第2次大戦における金属回収でほとんどの家が日本刀を多く持っていたことがしられる。五輪塔も多い。文久3年の落野浦明細帳には「十一面観音は木仏にして,御長二尺,縁起なし」とあるが,聖徳太子が16歳の時に自作した観音像が観音さんに安置されていると村人は信じている。戸数103,漁業・建設業のほか津久見市街への通勤者が多い。津久見市役所支所・駐在所・郵便局・小学校がある。一般県道四浦日代線と四浦港津井線の分岐点。本浦から仁宅(にたく)にかけて珪石の採掘で4業社が操業しており,自然美は破壊されつつあるが,まだ砂浜・岩礁・断崖・島の景観は四浦日代線から見ることができる。当浦の湾は水深30m,位置もよいので,今後,大型漁船の泊地拠点港とする計画がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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