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笠結島
【かさゆいじま】


笠縫(かさぬい)嶋のことという(豊国紀行)。大分港の西隅にあり,高さ3mぐらいで,現在埋立によって陸地の小山になっている。「万葉集」の「四極(しはつ)山うち越え見れば笠縫の島漕ぎかくる棚無し小舟」の笠縫島というが不詳。四極山は現在の高崎山。「豊国紀行」には「生石の浜のそばなる小嶋を笠縫の嶋と云」とあり,「同書附図」にも見える。「豊後国志」は「山の高さ六七丈,孤峯特立,嶄崖峋嶙,上皆老松,叢鬱森然。和歌を詠ずる所,頗る清賞す。蓋島は海中の山名なり。今陸に存るもの之を称す,未だ審ならず。此海浜芳崎より高崎に至るまで,区々七崎あり」とある。また「雉城雑誌」には「此嶋嶼,今纔ニ其形ヲ存在スルノミ。或説云,旧笠結島ト指シ言フモノ三ケ所アリ。慶長水災ノ後,独此一島ヲ余ス而已云々。菡海漁談云,当国郡村ノ古地図ヲ見ルニ,府内高崎ノ辺ニ島三ツヲ見ル。大ナルヲ笠結ト記シ,小ナルヲ仏崎・宇土ト記シタリト云々トアレバ,此古図収蔵セルトアリテ,脇氏ハ一見セラレシニヤ」とあり,伊能忠敬の「九州測量日記」にも見える。大分港築港の時,大部分が切りとられたという。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7229669