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柏野川
【かしわのがわ】


酒水(さかみず)ともいう(豊後国風土記)。大分郡挾間(はさま)町を東西に流れる川。挾間町埴坪(はねつぼ)の窪地に発して東流し,向原(むかいのはる)より大分川に注ぐ。流長1.5km,流域面積5.7km(^2)。「太宰管内志」に,「柏野は,加之波奴と訓むべし。名ノ義は,柏樹の多き処にて負せたりと聞ゆ」とある。「豊後国志」には,「賀来郷埴坪村の南山に発し,東南に流れ,柏野・中を過ぎ,向ノ原の東をめぐり,堂尻川に入る。風土記に云う所の酒水,これなり。いわくこの水の源は,郡の西柏野の盤中に出で,南を指し,下り流る。その色,酒の如し,水味少酸なり。用いて痂癬を療するなり。けだし,水源は鶴見の硫礬の気脈を受け,地中を伏せ行く。此に発す。故に然るのみ」とある。疥癬(かいせん)治療の鉱泉が湧出したことを示している。この川は現在,黒川と呼ばれ,海老毛(えびけ)の集落付近に温泉が湧出,海老毛温泉と通称され,旅館もある。この温泉には疥癬その他の病の治療に,町内外からの保養客が訪れる。黒川(柏野川)に沿って初瀬井路があり,南の高台にゴルフ場・町営グラウンドが設けられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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