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黒島
【くろしま】


臼杵(うすき)湾北部の小島。臼杵市大字佐志生(さしう)に属し,約200mの沖あいにある。面積0.2km(^2)・周囲約2km。日豊海岸国定公園のうち。泥質片岩の小起伏山地で,北東部に最高点27.2mがある。東半部はミカン園が開かれ,20m内外の海食層に囲まれている。円墳3基がある。旅館・キャンプ場などがあり,夏季には釣や海水浴・舟遊びなどで賑わう。慶長5年オランダ船が臼杵荘佐志生沖に漂着したといわれており(大分県の歴史),これを記念したウィリアム・アダムス(三浦按針)上陸記念碑が建てられている。「臼杵物語」によると,「当時立って歩く事の出来る者はアダムスと他6人であった。豊後(佐志生)と呼ぶ地点から1里程沖に碇を下ろしたところたくさんのボートが押し寄せ,動けない船員を尻目に船内の品物は全部持ち去られた。2,3日後耶蘇会士が来たが,彼らは私たちとは仇敵の間であるイスパニア人で少しも私たちのためにはならなかった。しかし当国の国王(臼杵城主,太田飛騨守)は大いに友交を示し,病人のために一軒の家を提供して必要な品物は備えてくれた。私たちは2年以来はじめて陸上で生活することができた。しかし翌日に3人が死亡,また3人は長い間患って死んでいった。国王は親切にも盗まれた品々を返還させたり,また金で支払わせたりし,船には警備の兵を乗せてくれたりした。2,3日の後私たちは船に乗れる者はリーフデ号に乗り,国王の城下の立派な港に連れて行かれ,全島の最高の王(徳川家康)の指示があるまでこの地で待たされる事になった」とあるが,アダムス一行の漂着地点は豊後のうちということしか明確でなく,佐志生,黒島,臼杵などの具体的な比定には問題点がなくもない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7230364