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佐伯湾
【さいきわん】


県東部,豊後水道西岸のリアス式からなる湾。北西は南海部(みなみあまべ)郡の上浦町蒲戸崎と南は同郡鶴見町鶴御崎(つるみざき)北方の高手島を結ぶ13kmの湾口をもつ。南西へ約14km湾入し,湾内の水深およそ40m。湾の北に当たる上浦町は戸数1,124。ミカンと土建業の出稼者が多く,県下でも過疎町のトップクラス。町の中心地津井には,瀬戸内海栽培漁業センターと大分県立栽培漁業センターがある。対岸の鶴見町は戸数1,622。ミカンと漁業の町で,過疎地帯からぬけ出し,人口増加の徴候がある。漁場は豊後水道沖が主で,アジ・サバ・カタクチイワシ・チリメンジャコが多く,佐伯魚市場の水揚げの大部分を占めている。なかでも,佐伯イリコは漁獲高の30%を占め,京阪神にその名を知られている。鶴見町中心地の地松浦(じまつうら)に,製氷・冷凍・荷捌業の一貫した水産基地センターが昭和55年完成の予定である。さらに,隣村の米水津(よのうづ)村とをつなぐ鶴見米水津線道路が昭和56年完成予定で,日豊海岸国定公園を眺望するスカイラインの実現を急いでいる。湾口には大島(標高193m・面積1.8km(^2))があり,湾奥にある大入(おおにゆう)島(標高194m・面積5.7km(^2))の西に彦島,南に点在する八島・片白(かたじろ)島・竹ケ島・竹島・三栗島の小島がある。上浦町浅海井(あざむい)の豊後二見をはじめ,国鉄日豊本線の汽車の窓から眺める地ノ鼻岩・宮島など島嶼の点在する海原は,豊後水道県立自然公園にふさわしい景観。佐伯港には昭和9年海軍航空隊が開隊され,鶴見町の丹賀(たんが)に砲台が構築された。また,同18年連合艦隊がひそかに湾内に集結し,ハワイに出動したことは有名。現在第2次大戦中航空隊司令部のあったところに海上自衛隊佐伯分遣隊があるなど,常に軍事的に注目される地理的環境である。佐伯湾には,セメント・合板・外材・造船の施設があり,宿毛(すくも)(四国)~佐伯間のフェリーなど大型船舶の航行が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7230607