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芹川
【せりかわ】


神川(かむのかわ)(風土記)・湯原(ゆのはる)川・朽網(くたみ)川(豊後国志)ともいう。直入(なおいり)郡から大分郡へ北東流する川。大船山南麓に源を発する大石川は,冷川・七里田(しちりだ)川・市川を合しながら東流,湯原で北東方に流路を転じ,さらに社家(しやけ)川・馬門(まかど)川・小津留(こづる)川を合わせて,芹川ダムに入る。これから下流は蛇生瀬(じようせ)の滝・蛇生瀬の渓谷・鮎返(あゆがえり)滝・竜仙(りゆうせん)峡を経て,大分郡庄内町黒ケ鶴(くろがつる)で大分川に注ぐ。流長2万8,434m,流域面積73.8km(^2)。湯原から下流の両岸は神角寺芹川県立自然公園のうち。流域は早くから開け,「和名抄」球覃郷(くたみのごう)の地。中世には,朽網氏が旧長湯地区を,田北氏が旧下竹田(しもたけた)地区を治めた。朽網氏はキリシタンとして知られ,教会を建て,日本の八布教区の一に数えられた。長湯下河原のキリシタン墓は県史跡。近世は都野(みやこの)・長湯地区は岡領(竹田領),下竹田地区は幕府領であった。流域は農牧林業地域であるが,久住町大字栢木(かやぎ)・仏原(ほとけのはる)・有氏(ありうじ),直入町大字長湯・上田北(かみたきた)・下田北(しもたきた),庄内(しようない)町大字大竜(おおたつ)などの地区の水田638.4haを148の頭首工で灌漑している。上流の大石川は大船(たいせん)山南麓に源を発し,久住高原東部を南東流,千人塚(せんにんづか)西南部で流路を東方に転じ,同じく大船山南東麓に源を発する冷川・七里田川・市川を次々に合わせる。これらの流域はほぼ久住町都野(みやこの)地区で,火山灰・溶結凝灰岩から成る久住高原の一部を浸食して形成した狭長な谷底平野にある約270haの水田を灌漑している。千人塚は都野地区の中心であるが,その南の古市(ふるいち)は延喜式直入駅の置かれた所と考えられている。冷川は流長3.21km・流域面積4.2km(^2)。市川は流長3.25km,流域面積3.5km(^2)。黒岳東方流紋岩山地に源を発する4河川は西から河内川・栗木川・仲村川・社家川で軽石流・溶結凝灰岩から成る高原を浸食して南東流し,まず栗木川は仲村川に,仲村川は社家川に,そして河内川が社家川に合流して,長湯ダムに入り,ついで芹川に入る。河内川は流長5.2km・流域面積10.6km(^2)・灌漑面積37.5ha。社家川は流長5.58km・流域面積7.7km(^2)・灌漑面積11.0ha。ほぼ直入町長湯地区であり,本支流で約120haを灌漑。金口峠のある輝石安山岩の山地に源を発し,軽石流や溶結凝灰岩がつくる定高性の小起伏山地を北東へ流れる4河流があり,最南の馬門川は大谷川をまず合わせ,ついで城後川を合わせた二又瀬川をも入れて芹川ダムに流入する。ほぼ直入町大字上田北の地区であるが,この辺では本流の谷は狭く,集落をほとんど欠き,主要地方道庄内久住線は馬門川に沿って走る。上田北地区で約200haの水田を灌漑。下田北地区の中心部は小津留川がやはり北東へ流れて芹川ダムに入る。これら支流の流長と流域面積は,馬門川5.8km・9.4km(^2),大谷川3km・4.0km(^2),城後川3.2km・4.0km(^2),二又瀬川4km・9.4km(^2),小津留川2.8km・8.7km(^2)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7231286