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高島
【たかしま】


きくの島ともいう(西遊雑記)。豊予海峡最大の無人島。北海部(きたあまべ)郡佐賀関(さがのせき)町大字関に属し,佐賀関半島関崎(せきざき)の沖あい3.7kmにある。瀬戸内海国立公園のうち。面積1.08km(^2)・周囲5.5km・最高点113m。緑色結晶片岩からなる海食崖が高さ20~40mにわたって発達。ウミネコの営巣地としては日本の南限。例年2月末~3月にかけて飛来し,東端の白滝島・フナマ島の階段状岩壁に巣をかけ,5~6月までに産卵,雛を育てて,8月中旬頃外洋に飛び去る。ビロウ・アコウ・ハマユウなどが自生し,キャンプ・磯釣ができ,佐賀関の下浦(したうら)港から遊覧船の便がある。近海はタイ・アワビ・サザエなどの宝庫。明治5年以降12軒の集落ができたが,大正9年,陸軍築城本部豊予支部設置,同14年までに口径7.7cmの野砲が取り付けられた。昭和22年浮浪児保護施設の高島海洋少年共和園となったが,同28年解散して無人島となった。「亀山随筆」に「佐賀関と伊予国佐田ノ岬との間,およそ七里なり,その間に高島と云ものあり。島の高さ十間許にして,めぐり一里余あり。人家あることなし。是則佐加の管内なり」とある(太宰管内志)。「豊後国志」には,「周廻一里余,山高十町,翠壁蔚蒼,人居なし。昔寺あり,海巌といふ。今廃す。側に池あり。また大梛樹あり,竹木も多し。薯蕷黄精を産す。土人漁す。鰒魚,海参および海藻多し」とある。また「西遊雑記」には,「高島はむかしきくの島といひし島なり。万葉に,豊国のきくの島なる花の名にかよひては住関の海士人」とある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7231422