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血の池地獄
【ちのいけじごく】


別府市の北部にある沸騰泉名。鉄輪(かんなわ)温泉の北約1km,十文字原(じゆうもんじばる)高原の東腹にある柴石(しばせき)温泉から東へ約800mほど下ったところにある。周囲約120m。泉温93℃。一面は酸化鉄・酸化アルミニウムなどの赤色沈殿物でおおわれ,血で染めたような奇景を呈している。鉄輪・柴石一帯の噴気・沸騰泉地帯は,地下温度が他の温泉地帯に比べて異常に高く,地下60m付近で約50℃,100m付近で約100℃と,60m付近から連続的に温度が上昇する。地表から30m付近まで角閃石安山岩からなる砂礫層である。岩芯中の鉱物の変質は30m付近から孔底180m付近まで強い変質作用を受け,岩芯中に緑泥岩や鉄鉱類が生成されている。「西遊雑記」に,「麓にかんなわ村といふ有り。此所に地獄と称せる所数多にて」とある。また「いろいろさまざまの地獄と名づけし池有りて,血の地獄といふは湯のいろ赤し。中にも池の地獄と称せるは,広々とせし池のうち鼎にて湯をわかす如く,湯の涌事二尺も三尺も立あがる事にて,見物のものあやまりて手足にそそげば忽やけどし疵つく事なり,土人此池に菜葉をうでて食事とせるなり。名づけやうも有べきに池の地獄とはおかしき名にて,何の罪有りて池は地獄に落る事と土人に尋しかば,無心の池さへ地獄に落る事なれば人間は落るはづなりとて,大笑せし事なり。すべて硫黄地にて臭気鼻を穿事なりし」とある。さらに「豊後国風土記」には,「赤湯泉(あかゆのいずみ)」とある。近くに竜巻(たつまき)地獄(間欠泉)がある。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7231729