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日田川
【ひたがわ】


筑後川(三隈(みくま)川)の古名。「豊後国風土記」の日田郡石井郷の項に「郷の中に河あり,名を阿蘇川という。其の源は,肥後の国阿蘇の郡の少国(おぐに)の峯より出で,流れて此の郷に到り,即ち球珠川に通り,会いて一つ川となり,名を日田川という。年魚(あゆ)多(さわ)にあり。遂(はて)は,筑前・筑後等の国を過ぎて,西の海に入る」とある。また「太宰管内志」に「日田川,里人は,隈川ともいふなり。おのれ三四月の比,此辺にものせしに,日田川水いと清らかにして,蛙又螢ことさらに多し。又隈町の辺に,鸕鷀を飼て,此川の年魚を取て,なりはひとするもの多し。そは闇夜の頃には昼の内より,数里川上の方に船をさし登せて日の暮るゝより,漸さし下しつゝ魚を取て夜の明る頃に隈町のうらにつくと云。又月の頃には月の入ルを待てしかするよしなり。其鵜飼舟と云ものはいといとちひさくして,わづかに鵜つかふ人と船さす人と二人のるばかりに作れり。船の中には薄の松明あまたに入れて,それを左ノ手にともして,右ノ手にて鵜をつかふ事なり。ひとりにて四ツも五ツもつかふに,手をひねりつつ糸のみだれぬやうにとりさばくさま,えもいはずおもしろき見物なり。此隈町のうらにてつかふを見たるに,早瀬をさし下す時のさま,ことさらにめづらし。此川筋に遊ばむ人,かならず鵜船の比におくるべからず」とある。鵜飼は今に続き,日田の夏の風物詩となっている。→三隈川




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7232927