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平井川
【ひらいがわ】


大野郡朝地町および同郡大野町の西南部を北西から南東へ流れる川。上流部を和田川,下流部を矢田川ともいう(豊後国志)。大野川水系。三宅(みやけ)山(731.5m,竹田市・朝地町)の北に発して,ほぼ南東流し,朝地町大字朝地で真竹(またけ)川と小賀(こが)川を,朝地町大字市万田(いちまんだ)の和田で,市万田川と酒井寺(さかいじ)川を,大野町矢田で田代川を合わせ,雌沈堕(めちんだ)滝を流下して大野川に入る。1級河川。延長28.074km・流域面積25.1km(^2),頭首工38・灌漑面積98.8ha。阿蘇溶結凝灰岩台地を浸食し,沖積低地は狭い。真竹川は亀ケ岳(768.1m,朝地町・直入(なおいり)町)北東麓の四坊水溜池(灌漑面積42ha)に発し,栗林を南東流,真竹を経て,朝地で平井川に入る。延長5.5km・流域面積10.2km(^2),頭首工20・灌漑面積29.7ha。小賀川は竹田市大字中(なか)を東流,朝地で平井川に入る。延長2.7km・流域面積5.8km(^2),頭首工2・灌漑面積2.0ha。市万田川は神角寺(じんかくじ)山の北麓に発し,城山の北から西の麓をめぐって,大字鳥田(とりた)・池田・市万田を経て,平井川に入る。延長20.965km・流域面積20.7km(^2),頭首工29・灌漑面積60.6ha。「豊後国志」に,「和田川 源は大野郷北平・白木の間に発し(現真竹川),朝倉東に至りて,綿田・徳野原の水(現平井川)を引く。朝倉に至りて,北平の水を合す。坪井に至りて,直入楠山の水を導く。板井迫・堀家を経て和田至る。両水相合して,和田川となる。東向矢田川と合す」とあるように,平井川上流部(ほぼ朝地町の地区)を和田川といった。酒井寺川は鎧(よろい)ケ岳の南西に発して南流,大野町の岡倉・酒井寺・庄屋・住吉を経て大鳥に至り,古殿(ふるとの)に発して,北園川を支流にもつ向原(むかいばる)川と合して,小原(こばる)で平井川に入る。「豊後国志」に,「源二,倶に大野郷に出づ。一は岡倉村より,門前・荘屋を過ぎて大鳥に至る。一は古殿村より出で,北園・向原の間を経て,大鳥に至る。合して酒井寺川となり,小原を過ぎて,和田川に入る」とある。延長5.3km・流域面積11.1km(^2),頭首工27・灌漑面積34.3ha。向原川は延長6.3km・流域面積5.6km(^2)。北園川は延長800m・流域面積2.0km(^2),頭首工19・灌漑面積61.0ha。田代川は鎧ケ岳の南側山腹に発して南東流,田中・田代・中原(なかばる)を経て,矢田(やだ)で平井川に入る。「豊後国志」に「源は大野郷藤浪村山中に出で,代野原北を遶り,東南行,河南・河北間を過ぎ,郡山東を経,東南行,矢田川に合す」とある。延長11.2km・流域面積7.2km(^2),頭首工59・灌漑面積96.8ha。「豊後国志」に,「和田・酒井寺二水合流。小原の南を過ぎ,曲折紆曲。両家・矢田を経て,田代の水を合す。雌沈堕となって大野川に入る」とあり,平井川の下流部(ほぼ大野町の地区)を矢田川と称した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7232983