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坊主地獄
【ぼうずじごく】


別府市北部の鉄輪(かんなわ)一帯の噴気・沸騰泉名。古くは円内坊が地獄といった。大平(おおひら)山の麓,鉄輪温泉の南西約1.8kmのところで,灰色の熱泥をぶつぶつと噴出する。熱泥は大小の球形をなして沸騰し,白煙をあげる。成分からみると,単純硫化水素泉で,75~99℃の温度を保つ。県指定の天然記念物である。「豊国紀行」に,「鉄輪村の西の方に所々に熱湯多し。又其西鶴見村の野に円内坊が地ごくとて熱湯あり。泥湯なり。佐田(宇佐郡安心院(あじむ)町佐田)へ行道のかたはらより近し。池の広さ方六間ばかりあり。其内に湯の沸出る所三所有。其涌き上る事皆三尺あまり。是又甚恐るべし」とある。また貝原益軒(豊国紀行の著者)は「豊後国風土記」の玖倍理湯(くべりゆ)を坊主地獄としているが,日本古典文学大系本「風土記」では鉄輪温泉にあてている。「豊国紀行」頭注は,「貞観九年正月二十日より数日間,鶴見嶽大爆発し,此の辺の地形を変へしを以て,玖倍理の湯井は所在不明也。熱泥沸騰の状より観て案内者の説明を信じ,益軒は坊主地獄と想定せしならん」と記している。また「先年村民の牛ふたつ。たたかひてつきあひしが,あふれて二疋ともに此池におつ。たちまち肉身とけて其骨のみわきあがりしと云」とある。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7233245