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綾川渓谷
【あやかわけいこく】


綾北川の綾北渓谷と綾南川(本庄川)の綾南渓谷の総称。東諸県(ひがしもろかた)郡綾町にあって九州山地に横谷を刻んでつくる渓谷をいう。綾南渓谷は綾町上畑集落から上流にかけてみられおよそ8kmにわたる。鋭くV字形に切れ込んだ谷はスケールも大きく清流と奇石と照葉樹の植生があいまって,所々に渓谷美をみせる。昭和57年5月この付近一帯2,455haが,九州中央山地国定公園として指定されたのも,カシ・シイ・タブなどからなる照葉樹林の広大さと見事さがその主たる理由であった。日本文化の源流を照葉樹とのかかわりの中に求めようとする,いわゆる照葉樹林文化論が述べられる今日,この地域の照葉樹の植生は貴重な国民的遺産といえよう。水久保から上流およそ10kmの川中には綾町営の川中自然公園キャンプ村があり整備が進みつつあるが,とりわけ昭和58年6月完成した綾川照葉大釣橋は,その高さが歩道橋としては世界一を誇るものとして人気を呼び,訪れる行楽客も多い。キャンプ村の近くには平安後期の作という阿弥陀仏を神体とする川中神社がある。綾北渓谷は椎屋集落から上流約8kmにかけて形成されている。ここも雄大なV字谷が続き,渓谷美も綾南川に劣らない。谷口にあたる杢道には自然遊歩道や綾町営の綾川荘をはじめ民営の保養施設もあり,四季訪れる客が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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