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生駒高原
【いこまこうげん】


小林市にある高原。霧島火山群の北東部にある夷守岳(1,344.1m)の北麓に位置する裾野高原。開拓集落である生駒・環野・千才を中心とする周辺一帯の溶岩からなる。高度400~500mの緩やかな丘陵性高原である。国鉄吉都線小林駅からえびの高原行バス路線の途中にあり,主要地方道小林えびの高原牧園線がこの高原の中を通っている。高原の南には生駒富士と呼ばれる夷守岳を中心に霧島連山があり,北および北東方向にはえびの市・小林市の西諸盆地を眺望することができる。春は菜の花,秋はコスモスが一面咲き乱れる花の高原である。昭和36年頃,宮崎交通がここに15haの原野を入手開墾し,コスモスを植えはじめた。今では約50万株のコスモスが9~10月の開花期にピンク・赤・白の花の海をつくる。コスモスを栽培する以前は,地元の開拓農家が春には菜種を栽培していたが,次第に栽培が減少,「菜の花の黄色の海」を再現したいという願望が実現されて,えびの高原に次ぐ霧島の新しいもう1つの観光地,花の高原生駒が生み出された。今でこそ全国的に有名となったが,以前はススキが一面に広がる原野であった。明治以前から当高原では春から秋まで農家は馬を共同放牧する慣行があり,明治以降第2次大戦までは軍馬育成と調教がなされるようになり,小林市に陸軍軍馬補充部が置かれ,一帯はその用地となった。戦後昭和21年に海外引揚者・復員軍人・戦災者たちが全国各地から集まり,この原野に114戸が入植,サツマイモ・陸稲を作りながら今日の生駒・環野・千才などの集落をつくり上げてきた。現在は高冷地の気候条件を生かしてキャベツ・ハクサイなどの生産出荷を行っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234342