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入郷地域
【いりごうちいき】


日向市の後背地域となっている東臼杵(ひがしうすき)郡の東郷町・西郷村・北郷村および南郷村の1町3か村地域の一般呼称。山あいの里で,その面積は713.6km(^2),人口1万7,300人である。四周を山地に,すなわち北側には日向山地,西側には九州中央山地,南側には米良(めら)山地と尾鈴山地などに囲まれ,内にも重畳する山々をもった農山村地域である。山地は,ほとんど上部中生代から古第三系の四万十層群に属する砂岩・粘板岩・頁岩などから構成されている。これらの地層岩石が北東から南西方向に帯状に分布し山地をなすため,山地の尾根走向と直角の南東へと諸河川が浸食横断して日向灘へ流出している。浸食を受けやすい粘板岩・頁岩の地域では河川の差別浸食の結果,谷底平野や山間の小盆地が形成され,そこに各町村の集落が発達し,米作を基本に広い山林を兼業対象としている。同郡門川町へ流出する五十鈴川の上流に北郷村があり,その中心地集落が宇納間(うなま)で村役場所在地。河川沿いの県道が主要交通路となっており,経済的に門川町との結びつきが強い。宇納間には火切地蔵ともいわれる防火安全の宇納間地蔵尊がある。小丸川の上流に沿った河岸に神門(みかど)があり,南郷村の中心集落である。小丸川沿いの県道もあるが,交通のメーンルートは,日向市から椎葉(しいば)街道と呼ばれる国道327号を西進し,東郷町の中心地山陰(やまげ)で同道から分かれて国道446号を南西方に進む。若山牧水の生誕地坪谷を過ぎ児洗で右折して北西方向に進むと南郷村に入り,神門に着く。神門には1,300年の歴史をもつ百済王の貞嘉王を祀る神門神社があり,王の遺品と伝えられる銅鏡は県文化財となっている。西郷村の中心地は田代であるが,村役場は耳川の中流右岸から750m離れた字峰にある。田代には祭神彦火火出見尊の田代神社があって,独特の民俗行事として御田祭が知られている。大正12年に国鉄日豊本線が全線開通するまでは日向市細島港(現在の商業港)は,日向の玄関口であり,入郷地域にとっても重要な出入口であった。この港から日向木炭が藩政期から積み出されてきており,昭和30年代のエネルギー革命期まで,木炭は日向の,特に入郷の特産品として全国的にその名をとどろかせ,重要な現金収入源であった。現在は林産物としてシイタケ生産に力を入れている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234410