大瀬川
【おおせがわ】

延岡市の市街地を流れる１級河川。五ケ瀬川の一部であるこの川は，延岡市下三輪(しもみわ)町付近から城山の下を東流し，土地の人が川中と呼ぶ中州の東端（方財町・東浜砂町）までのおよそ3.5kmが流路である。「日向地誌」に「県城主高橋氏延岡城ヲ築キシ時，五ケ瀬川ノ流ヲ分テ要害ヲ固フセシ所ナリト言フ」とあるが，おそらくは部分的改修程度の工事を，このように伝えたものであろう。近年，各地の河川が汚濁しつつある中でここは清流を保ち，市街地の真ん中でも鮎釣りのできる風情ゆたかな川である。上流の方から大瀬橋・安賀多橋・延岡大橋などの橋が架けられているが，城山の真下に架かる大瀬橋は延岡藩城下町の中心に架設されたもので，当時の日向には数少ない本格的な橋の１つであった。昭和15年の水害で流失するまでは国道であったが，その後市街地域の変化拡大によって安賀多橋が国道となり，現在はさらに下流の延岡大橋が国道の役割を果たすようになった。市域の拡大を橋によって語ることのできる典型例でもある。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7234552