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乙島
【おとじま】


県北部,東臼杵(ひがしうすき)郡門川町の南東部,門川湾の湾口中央に位置する無人の小島。日豊海岸国定公園に属し,日向八勝の1つで,昭和32年県名勝にもなっている。標高79.3m,周囲約4km,面積17ha。地元では,乙島をおとめ島と呼んでいるが,島の姿・形が名称に反映しているようである。当島は五十鈴川河口から東へ約1km,門川港から渡船で5分の距離にある。「日向地誌」には「尾末浦ノ東南ニ当リ,十八九町ニアリ海中ニ突起ス,南北凡五町東西之ニ半ス,群嵒四面ニ簇出シ松椎雑生畦圃僅ニ其中ニアリ,島民一戸農漁ヲ業トス」とある。全島が尾鈴山地の延長で,新生代第三紀尾鈴山酸性岩類からなる。日向灘に臨む島の東側は岩石海岸で,屈曲した数十mの絶壁をなし,柱状節理の奇観を見せる。海食によるノッチ(海食窪)も多く,南に4か所,東に3か所,北に1か所の海食洞があり,中でも南にある茶屋の大門は最大で,竜宮のぞきとも呼ばれ,尾鈴山酸性岩類のものとしては珍しい。島の西側は砂浜海岸であり,夏はキャンプ場が設けられる。島にはマツ・クス・シイ,亜熱帯植物も繁茂し,周りの海底には,大きな石や岩が多い。海底には緑藻類(アオサ)・褐藻類(トゲモクなど)・紅藻類(オオオゴノリ)などの海草の群落がみられ,サザエ・トコブシ・アコヤ貝などの軟体動物,棘皮動物(ムラサキウニ)が生息している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234638