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清武川
【きよたけがわ】


鰐塚(わにつか)山(1,118.8m)北斜面を源とし,宮崎郡清武町を東流,宮崎市木花地区で日向灘に注ぐ2級河川。全長33.6km,流域面積166km(^2)。流域の複雑な地形を反映して支流も多く,松山川・水無川など16支流をもつ。鰐塚山を流れ下るこの川は,麓に盆地状の谷底平野をつくる。宮崎郡田野町の中心街はここに発達しているが,この一帯は地質時代の古田野湾が隆起運動により陸化した所で,扇状性台地や河岸段丘がみられ,格好な河岸地形の観察地となっている。この流域には化石も多く,とりわけ田野町仮屋原(かりやばる)のものについては「日向地誌」にも「化石多クハ水底,如クハ水涯ノ巌石中ニ産ス……鉄椎ヲ以テ漸次ニ撃砕ケハ,或ハ鰻,或ハ蟹,或ハ螺,或ハ蜆,手ニ応シテ出ツ,首尾口目皆具ワル生物ト少モ異ルコトナシ」とあって,著者平部嶠南が「甞テ美濃ノ月吉山ヨリ出ル所ヲ一覧セシニ,此渓ノ産スル所ニ比スレハ其品格大ニ劣レリ」とまで賞賛したこの化石渓は,いま鰐塚県立公園中の景勝地の1つとなっている。田野盆地外縁の山地に深い谷をつくりながら東流して清武町に入ったところに黒北発電所がある。これは一般家庭向けとしては本県最初のもので,明治40年の創設以来,今もアルゲマイネ社製の発電機が作動している。清武町の中心地区を過ぎるあたりからは沖積平野も広くなり豊かな水田地帯となっているが,最近,国立宮崎大学移転に伴う学園都市建設構想と,沖電気を中心とするエレクトロニクス産業とを結びつけたテクノポリス建設に向けて大きく変わろうとしている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234885