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狗留孫峡
【くるそんきょう】


えびの市にある川内(せんだい)川上流部の峡谷。加久藤(かくとう)盆地の北東部山地にあたるこの一帯はかつての加久藤カルデラ壁で,地質的には四万十(しまんと)層を基盤にその上に姶良(あいら)火山の噴出物である軽石や溶結凝灰岩からなる地層がかぶる構造をしている。河床には所々に甌穴(ポットホール)がみられ,谷壁も絶壁をなすところが多く,深く切れ込んだ谷には幽谷の趣がある。「日向地誌」には「水深処六七尺,浅処二三尺急湍アリ,石川ニシテ清シ,舟筏通セズ」とある。険しい地形は流域に崩石・石床などの地名を生んでいる。この谷には天狗の伝説がある。天狗山(940.5m)や天狗宮はそれにちなむ名称で,修験道の霊場としての雰囲気充分なものがある。かつて里人から天狗の棲居として恐れられたこの場所も,今はキャンプ場が設けられ様変わりをはじめている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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