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幸島
【こうじま】


「こうしま」ともいい,通称サル島,旧称小島(こしま)。県最南端,串間市市木の野猿のすむ無人島。日向八勝の1つで,日南海岸国定公園に属している。周囲3.5km,標高113.7m,面積30ha。都井岬北方約10kmの石波海岸から約200m沖にある。「日向地誌」には「小島」とあり,「石波ノ浜ヨリ東ニ当リ三町許海中ニアリ,高十四五丈周囲三十一町三十五間」と記されている。地質的には日南層群の砂岩からなり,急崖が海岸に迫り平地はない。無霜地帯で,全島に約40種の亜熱帯植物を含めて,78科196種の植物が繁茂している。海辺近くのモクタチバナ・ハマビワ・シャリンバイなどの海岸の樹林や,その上部のスダジイ・マテバシイの卓越する樹林などが見られる。フカノキは島内各所にある。サル島と呼ばれる当島には,昔からニホンザル(オナガザル科)がすみ,島内に祀られている弁財天の使いとして愛護されてきた。昭和9年に幸島猿生息地として,国天然記念物に指定された。昭和23年に京都大学霊長類研究所が設けられ,今西錦司教授を中心とする研究グループが生態研究を始め,サルの戸籍や家系を記録,昭和26年には初の餌付けに成功した。餌付け後,数年間で,若いサルを中心にイモ洗い行動・味つけ行動・砂金掘り(小麦選別)行動・水泳・おちょうだい行動など,餌付けに関係のある知的・文化的行動が認められ,学術的にも貴重な成果をおさめた。最近はイモ洗いのサルが半数になり,魚食のサルが現れた。現在,幸島のサルは約90頭である。そのほか,島には方解石を産すとの記録もある。島へは石波海岸から渡船で連絡している。地名の由来は不詳。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234972