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五ケ瀬川
【ごかせがわ】


県北最大の河川。西臼杵(にしうすき)郡五ケ瀬町を源流とし,5市町村にまたがって流れる1級河川。全長106km,流域面積1,803.8km(^2)。流路は,五ケ瀬町鞍岡の山地を源流域とし,熊本県蘇陽町に入り,西臼杵郡高千穂町―同郡日之影町―東臼杵郡北方町を経て延岡市方財町で日向灘に注ぐ。熊本県との境界は蘇陽峡の名で知られる峡谷。支流の数67は大淀川に次ぐが,主なものは北部の祖母(そぼ)・傾(かたむき)山系から南流するものが多く,それらの流域には岩戸川の土呂久(とろく)鉱山,日之影川の見立(みたて)鉱山,綱ノ瀬(つなのせ)川の槙峰(まきみね)鉱山など,かつて砒素系鉱物や銅鉱を産する事業所が立地した。支流を含めて五ケ瀬川の上流・中流域には谷底平野の発達はほとんどない。日之影とか早日渡(はやひと)(北方町)の地名が示すように空を狭くみせる谷が連続する。特に高千穂町から日之影町にかけては,随所に100m級の絶壁をみせる。これは地質時代の第四紀洪積世に阿蘇火山の噴出物で埋められた谷を,再度川が浸食して形成したもので,峡谷を構成する岩石は溶結凝灰岩と呼ばれる。高千穂町の中心街は川が削り残した溶結凝灰岩の段丘面に発達したものである。西臼杵地方の古い集落はたいていこの段丘面に立地している。この岩石は柱を立てたような節理面をもつが,雲海(うんかい)橋(高千穂町)や青雲橋(日之影町)が峡谷とあわせ見せる美しさは,溶結凝灰岩の性質に負うところが大きい。五ケ瀬川が川幅を増し沖積平野を広げ始めるのは川水流地区(北方町)からで,ここから下流にかけて県北最大の延岡平野を形成する。人口およそ13万5,000人の延岡市はここに発達した。かつては内藤氏の城下町,いま旭化成の企業城下町であるが,この工都延岡を育てたのは五ケ瀬川の豊かな水と水力であった。この川には大小20余の発電所が建設されているが,そのうち星山・水ケ崎(すいがさき)をはじめとする7つの発電所は,旭化成のものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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