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虚空蔵島
【こくぞうじま】


県南部,南那珂郡南郷町中村乙にある無人の小島。日南海岸国定公園に属している。周囲約500m,面積1,036m(^2),標高49m。細田川河口右岸,目井津港北側の海岸から東方約200mに位置する。島は大正10年までは,干潮時にしか渡れない離島であったが,県の防波堤造成により70mが埋め立てられて人工的陸繋島となり,目井津港を囲む一角となった。島名の由来は山頂に祀られている虚空蔵菩薩にあり,菩薩信仰によるもの。菩薩の祀られている虚空蔵堂は,寛永6年伊東修理大夫祐虔公の母,松寿院を祀って建立,堂のそばには八大竜王・弁財天・金比羅大権現などを祀る社殿があり,さらに「昭和十四年 八千代丸鰹三万越え塚」や,昭和49年12月建立の「魚族供養皆成仏道」など,漁業と海上安全を祈る百度参りの聖地となっている。「日向地誌」によれば「目井津海浜ヨリ海中ニ距ル五十間許 潮退ケハ足ヲ霑サスシテ至ルヘシ 高六丈周囲五六町満島雑樹ヲ生ス 之ヲ望メハ鬱然タリ 古ヨリ其巓ニ虚空蔵堂ヲ置ク故ニ是ノ名アリ 明治五年壬申廃毀ス」と記されている。地質的には日南層群(7,000万~2,600万年前)の砂岩を伴う頁岩からなる。全島密林でタブノキ・モクタチバナが多く見られる。林床にはオオイワヒトデ・ノシランなど,蔓植物ではフウトウカズラ・テイカカズラ・オオイタビや着生植物のオオタニワタリなど,わが国暖帯の代表的植物群落が分布。亜熱帯性樹木ではアコウの大木が群生し,ビロウ・フカノキ・ショウベンノキなどが繁茂。島の総植物種数57科171種。昭和26年虚空蔵島の亜熱帯林として国天然記念物に指定。島にはカラスが群生し,夕焼け空の中をカラスの群れが島をめがけて渡る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234993