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酒谷川
【さかたにがわ】


日南市飫肥(おび)地区を流れる2級河川。広渡(ひろと)川の1次支流である。北諸県(きたもろかた)郡との境界付近の山地を源流域とし,ほぼ東に流れて日南市吾田(あがた)地区の王子製紙日南工場の下手で広渡川に合流する。全長32.5km,流域面積は130.01km(^2)で県南地方屈指の河川である。往時は東の広渡川に対して西川と呼んだというが,「日向地誌」が「屈折洄両山ノ間ヲ流ル,石瀬激流多シ」と記すように,上流・中流域は第三紀の日南層群を深くえぐって流れる。中流の小布瀬ノ滝はこの地形がつくる。落差30m,飛び散る水しぶきは周囲の木々をふるわせ,見る人の衣を濡らすと古人のいうこの滝は,春秋を通じて優れた景勝地である。川の流域には姶良火山噴出物であるシラスの厚い層がみられ,伊東氏の居城であった飫肥城はこの地層上にある。水の浸食に弱いシラス層は,川の浸食面に急崖をみせる。飫肥城の西側にはその典型ともいえる断崖がある。酒谷川の沖積平野は下流の吾田地区で最大となる。近年この界隈は市役所をはじめ官庁や銀行が立ち並び,商店の集中も著しく,いわゆる日南市の中心業務地区となりつつある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7235066