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島浦島
【しまうらとう】


島野浦(しまのうら)島ともいう。県北部,延岡市北東部に位置する有人島。日豊海岸国定公園に属している。周囲15.49km,面積2.83km(^2)。昭和32年離島振興法の指定を受けている県内最大の島で,最高点は遠見山の標高185.5m。全面積のうち森林と原野1.98km(^2),護岸など0.42km(^2),耕地0.23km(^2),宅地は0.20km(^2)。人口は昭和55年の国勢調査では1,685人(437世帯),昭和58年には1,837人(467世帯)で過密の島であり,地価も高い。延岡市浦城港から東へ6km,東臼杵(ひがしうすき)郡北浦町古江から南へ約4km,日向灘の北端に浮かぶこの島の名の由来については定かではないが,弘治2年古文書に初めて島名が見える。島は長い間,瀬戸内~薩摩航路の中継地。人が定住しはじめたのは,元禄年間(17世紀末)からで,四国の徳島地方からの移住であるといわれる。藩政期,延岡藩主の内藤氏は参勤交代の際,船で延岡を出発し島浦港を最初の寄港地としていた。「日向地誌」によれば「市振村宮ノ浦村古江村ノ東南海中ニアリ 海岸ヲ距ル二十町許 高三十余丈 周囲凡三里強」と記されている。島の地質は中生代白亜紀四万十累層群下部の砂岩頁岩互層からなり,本県の島の中では古いものに属する。島の70%は山地で,シイ・タブ・クロマツが繁茂している。島は黒潮の影響を受けているので,島の北東部の小池鼻の断崖上には多くのビロウ樹が点生している。外海に面した海岸は切り立った岩壁の険しい海食崖をなし,海食洞もあり,変化に富む男性的な景観をつくる。標高50~100mの海食崖は島の南で,地の小島・沖の小島・海士鳥礁(かもめべ)・一つ礁となり波間に沈む。島の周辺には岩礁や暗礁も多く好釣場が多い。海底は岩盤で海岸から水深10m近くまで,地形は急傾斜し,褐藻類・紅藻類が繁茂している。集落は港を中心に西海岸の白浜地区と南部の宇部地区に立地。島民の98%は白浜地区に居住し,7世帯が宇部地区。島は過密でもあるので慢性的な水不足に悩まされてきたが,現在は対岸からの海底パイプによる送水で水不足は解消された。島の主要産業の漁業に人口の50%以上が従事。巻網漁(あぐり網)が盛んで,巻網船団13統50隻,5t以下の漁船120隻が操業,漁獲高は年間9,000t,25億円(昭和57年度)で,イワシ・アジ・サバの漁獲が多い。昭和62年には宇治の第2漁港が完成の予定。島浦島と北浦町との間の内海は,ハマチ養殖の好水域で北浦町に次いで県下2位,近年はタイの養殖も行われている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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