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杉安峡
【すぎやすきょう】


一ツ瀬川の中流域にある峡谷で,西都(さいと)市杉安地区から上流一帯をいう。京都の景勝地嵐山にならって日向嵐山と呼ばれ古くからの景勝地であった。往時は屋形船を浮かべ,河岸には料亭も並び多くの行楽客が訪れたが,上流にダムが建設されるようになってから水量も減り客足も遠のいた。杉安集落がさびれたのは,水量の減少による景観の変化だけが原因ではない。交通路の変遷によるところが大きい。ここは一ツ瀬川がつくる浸食谷の出口にあたる谷口集落で,宮崎平野と米良(めら)山地を結ぶ結節点である。米良街道を往来する文物はすべてここを出入りした。「日向地誌」によれば戸数66戸で南方村(西都市南方)の集落中最大であった。その杉安も国道219号が整備されると,単なる通過点となり,国鉄妻線の廃線もこれに拍車をかけ衰微へと斜傾していった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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